Foolish boyfriend~5年前の約束~
「達哉、怒ってる?」
聞かなくても分かってるんだけど。
だってやっぱり、横から見てても表情が怒ってるのが分かっちゃう。
「何で?」
「何でって……見てれば分かるよ」
もうすぐ家に着くのに、気まずい雰囲気のままは嫌だな。
せっかく久しぶりに会えたんだから、会えなかった時のことを話したい。
「怒ってるって言ったら、どうすんの?」
理由はきっと、中村だろう。
だからこんなところで会いたくなかったのに。ちゃんと話してから会わせたかった。
そうすれば、こんな風になったりもしなかったはずなのにな。
「謝るよ。ごめんね」
下を向いてポツリと呟く。
もう家は目の前にある。車がないから、両親はる2人ともいない。あたしたちは夏休みだけど、一応平日だから仕事かな。
繋いでいた達哉の手を離して、鍵を開けた。
ドアを開けた瞬間に、ムワッとした空気が頬を撫でる。
「達哉、入って」
そう言うと、「お邪魔します」と小さな声で言って入ってきた。
「暑いね」
「ん、そうだな」
そっけない。
せっかく久しぶりに会ったっていうのに、何でこんなことになるんだろう。
「あ、そうや。今日お祭り行く?」
あたしの部屋に入ってそう聞く。
家に入ったときよりも、空気がムワッとしてたから、入ってすぐにクーラーをつけた。あまり広くないから、すぐに涼しくなるだろう。
「どっちでもいいよ」
どうすればいいの?