Foolish boyfriend~5年前の約束~
「は?」
案の定、達哉は喧嘩する気満々。学ランの袖をまくっていた。
「いいから、帰ろ。達哉帰んないならあたし先に帰るよ?」
こう言えば、達哉は必ずあたしと一緒に帰ってくれる。何だかんだ言って、優しいから。
納得してないようだけど、あたしの手をとって歩き出した。
「何だよ、舞子が困ってたから助けてやったのに。」
先に帰ってて、って言ったのに、待っててくれたんだ。まぁ、あたしをおいて帰る気はなかったんだろうけど。
「うん、ありがとう。助かったよ。」
そっぽを向いている達哉は、喧嘩を止められたことが気にくわないんだろう。
でも、先に止めに来なかったのは達哉の方だ。笑って見ていただけなのに、喧嘩はするって、おかしいでしょ。
「何もされてねぇ?怪我は?」
そっぽを向いたまま言う達哉。ふと手首を見ると、やっぱり少しだけ赤くなっていた
「されてないし、怪我もしてないよ。大丈夫だから早く帰ろうよ、寒いし。」
赤くなっているのは、達哉と繋いでいる方の手。バレたら怒るに決まってる。
帰りたがるあたしの様子が変なことに気づいたのか、達哉はあたしの方を見た。
「ほんとに怪我してねぇんだよな?」
疑ってるみたいだ。