Foolish boyfriend~5年前の約束~
「中村、女子はな、理由がなくても好きな人とは喋ってたいもんなんや! ほんま、女心の分からん男やな」
必死に課題を写している杏は、中村には目もくれず、そう捲し立てた。
「俺、男やし」
「女心が分からん男はあかんで」
今回ばかりは杏の方が一枚上手だったみたいで、中村は少しだけ拗ねて黙り込んでしまった。
返す言葉が見つからなかったんだろう。
「なぁ舞子。電話、こっちからかけてみたらええやん」
「…向こうは忙しいかもしれへんし…」
もし忙しくて連絡できないのなら、今あたしが連絡するのは迷惑かもしれない。
「メールは?」
「あぁ、メールね」
そっか。
メールを送ればいいんだ。