Foolish boyfriend~5年前の約束~
追いかけてくることさえしない。彼女が泣きそうだっていうのに、彼氏失格だよ、達哉…
あれ、あたしいつからこんなに弱くなったんだっけ。達哉にちょっと冷たくされただけなのに、辛くてしょうがない。
初めてだからかな、冷たくされるの。いつもあたしには優しかったし。
――――――キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴ってしまったけど、今はそんなことどうでもいい。
何だかんだ言って、あたしも達哉のことが好きなんだ。気がつかなかったけど、いなきゃダメだと思ってしまうくらいに。
こんな風になったことがないから、解決策も分からない。どうすればいいのか分からないから、余計に不安になる。
このまま、微妙な関係が続いて、いつかは別れを告げられてしまうのじゃないか。
大袈裟かもしれないけど、こんな状況が初めてのあたしは、ほんとにそう思った。
今は授業どころじゃない。クルリと向きを変えて、保健室の方向へ歩き出す。休ませてもらうつもりで。
あ、でもこの授業が終わったらもう下校だし、達哉迎えに来るよね。教室にあたしがいなかったらどうするんだろ?
ほっといて、そのまま帰っちゃうかな? それとも、保健室まであたしのことを迎えに来る…?
期待と不安を膨らませながら、保健室へと向かう足取りを、ほんの少しだけ早めた。