Foolish boyfriend~5年前の約束~

「どの女もそうだったじゃねぇか。お前の優しさに、惚れたやつばっかだっただろ。ほんとのお前を見てないやつと、広田を一緒にすんな」


女が離れていくのが怖い理由って、母親がいないからだっけ?

理由さえも忘れてしまったけれど、離れていってほしくなくて、必死に女の前だけで自分を演じていた。


「広田も、お前の態度がおかしいって悩んでた。きっと気にしてねぇよ、あいつは。」


大きなため息をついた後、健吾は俺の前にあった椅子に座った。ニッと笑って、「行ってこいよ」と言う。


「お前に言われなくても行くところだ、バーカ」


素直じゃない憎まれ口をたたいた後、鞄を持って教室を飛び出した。少し遅れたけど、舞子を迎えに行くために。


素を見せるのが怖いだとか、行ってる場合じゃない。

舞子はそんなことで離れていかないんだ。俺があんな小さな事を気にするなんて、おかしいだろう。



「舞子ーっ」

少し息を切らしながらドアを開けて舞子の名前を呼んでみるものの、どうやら舞子はいないみたいだ。


先に帰ったのかと思い、舞子の席を確認してみると、鞄はある。まだ帰っていないようだ。


「おい」


その辺にいた舞子のクラスメートに声をかけると、ビクリと肩を震わせて俺を見た。その後すぐに、目を逸らされる。


「舞子知らねぇ?」


「ま、舞子ちゃんなら、多分保健室じゃないかな……最後の授業出てなかったみたいだし…」


ビクビクしながらもそう答えてくれた小さい女子に礼を言って、保健室へと走り出す。
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