Foolish boyfriend~5年前の約束~
「ごめん」って言うんだ。変な態度とって、舞子傷つけて。たった数日だったとしても、傷ついたはず。
あの、泣き出しそうな表情が何よりの証拠だ。追いかけなかった自分が、どれほどバカだったか。
すぐに嫉妬しまうのも、喧嘩っ早いのも、自分を作ってしまうのも、全部含めて俺なんだ。
舞子なら、分かってくれるはず。たった11ヶ月の付き合いだけど、今までの中では一番長い。
それだけ俺が我慢してこられたのは、多分、舞子に離れていってほしくなかったからだろう。
「っはぁ……っ」
保健室、と書いてあるプレートが見えたとき、走るスピードを少しだけゆるめた。今更になって、緊張してきた。
何だよ、いつも喧嘩ばっかしてる俺に、こんなにも度胸がないとは思わなかった。心臓バックバクだっつーの。
保健室の前でピタリと止まって、一度だけ深呼吸。ドアに手をかけて、思いっきり引いた。
「失礼しまーす…」
小さな声でそう言って、中を見渡してみるものの、人がいる気配はない。……が、1つだけ、カーテンの閉まったあった。
多分、っつーか、絶対あのベッドにいるんだろうけど、カーテン閉まってるからよく分かんねぇ。
「舞子ー…?」
ゆっくりとカーテンを開けると、見慣れた少し茶色いふわふわの髪が見えた。それと同時ぐらいに、目を瞑った舞子の顔が見えた。