Foolish boyfriend~5年前の約束~
「う、えーっと、あの、お、おはよう……」
何を言えばいいのか分からないまま、とりあえず言葉を発してみたけれど、自分でも何を言っているのか分からない。
「…おはよ…」
苦笑いの舞子。
当たり前だよな。起きたら、ちょっと前まで素っ気なかった彼氏が居て、意味分かんねぇ事言ってんだもん。
「…っと、あの………迎えに来た…、帰ろうぜ」
笑顔を作ってみたものの、苦笑いであることは見なくても自分で分かってしまう。
多分今、顔引きってんだろうな。
「あー…、うん。帰ろっか」
俺らしくない。いつもなら、何があってもこんなに動揺したりしねぇのに。
舞子も、きっと変だと思ってる。
でもさ、いつもの俺って、どんなだっけ? どんな風に舞子に接してたっけ?
普通にしようと思えば思うほど、どうしていいのか分からなくなる。まぁ、これが俺なら仕方がない。
この俺を、舞子に受け入れてもらうしかない。分かってもらうしか、ない。
「あたし鞄とってくるね、靴箱で待ってて。すぐ行くから」
考え過ぎか。
これが俺なんだ、と、話せばいいだけなんだから。