Foolish boyfriend~5年前の約束~
-舞子side-
ビックリした。
目を開けたら達哉がいたんだもん。急に心臓が波打って、少しだけ苦しかった。
「はぁー……」
鞄を取りに行くと言ったものの、一緒に帰るとなると、少し気まずい気がする。
あれだけ素っ気なかった達哉が、急に元に戻るなんて有り得ないし。それに、さっきの態度も何だかおかしかった。
避けられるよりはマシだけど。何話せばいいのかな。態度が変だった理由って、聞いてもいいの?
「あ、舞子、もう大丈夫?」
教室に入ると、何人か残っていた生徒が声をかけてきた。心配してくれてるみたい。
「大丈夫大丈夫、少し寝たら良くなったから」
「そっか、良かった。舞子めったに調子悪くなったしないから、心配してたんだよ」
確かに、風邪も引かないし、怪我だってしない。学校を休むことも、早退することもあまりしない。
だから、心配してくれてるんだろう。
「ありがと。あたしもう帰るけど、みんなも早く帰るんだよー? 最近暗くなるの早いんだし」
『はーい』
笑顔で返事をした友達に手を振り、靴箱へと歩き出した。待たせるのも悪いから、少し早歩きで。