Foolish boyfriend~5年前の約束~
手は繋いでるものの、会話はない。何度か何か話し出そうとするとこが見えたけど、よく分からなかった。
マフラーに口元を埋めて、下を向いてしまった達哉。
あたしから、話し出せば、話しやすくなるのかもしれない。どうしよう、話しかけてみようかな…
学校の敷地内から出て、生徒がほとんどいなくなったとき、達哉が急に話し出した。
「ごめんな」
突然何を言い出すのかと思えば、たった一言、謝罪の言葉だった。何の謝罪…?
「最近、俺態度おかしかっただろ? そのことで、舞子に話したいことあって…」
改まって言われると緊張する。自分でも、態度がおかしいって気づいてたんだ。
「何?」
少し強まった、繋がれた手の感覚に、あたしまでドキドキしてきた。別れ話だったら、どうしよう…
「あそこで話していい?」
そう言って達哉が指さしたのは、帰り道にはいつも通る、見慣れた公園だった。
「うん、いいよ」
いつもは人が居るのに、今日に限っては誰もいない。静かな場所だった。