Foolish boyfriend~5年前の約束~
いつも同様、あたしを家まで送ってくれた達哉は、家の前で一度あたしをギュッと抱きしめた。
「明日、遊園地な」
「うん、分かってる」
じゃあな、と手を振って、今来た道とは逆の方向に歩き出した達哉。
その背中が見えなくなってから、家に入った。
「ただいまー」
いつもあたしが帰る時間にはない、お父さんの靴が玄関に並んでいた。珍しいな、こんな早い時間に……
それに、お母さんも"おかえり"って言ってくれない。聞こえてなかったのかな。
リビングには明かりが点いていて、ドアの隙間から見えたリビングには、お母さんもお父さんもいた。
見慣れない光景に少し戸惑いつつも、ドアを開けると二人がこっちを見た。
「おかえり、舞子」
いつもと変わらないお母さんの声に、少し安心した。
「どうしたのお父さん、今日は帰ってくるの早いね」