Foolish boyfriend~5年前の約束~
――――――――――
―――――――――――…
あぁー…
どうする、あたし。
今日達哉にお父さんの転勤の話をするべきか、それとも、黙っているべきなのか…
「どうするあたし!」
オレンジ色の光が射し込む教室内に、あたしの大きな声が響き渡った。掃除していたクラスメートは、ビクッとして一斉にあたしを見る。
「あ、ごめん」
ホームルームが終わり、今掃除をしているであろう達哉を待っている、無駄にドキドキしている時間帯。
いや、なんかドキドキの意味が違うっていうか…、変な意味で心臓バクバクっていうか…
「どうしたの、舞子」
仲のいいクラスメートに心配そうな顔で見つめられる。
「………んーん、何でもない」
言えない。
もし言うのだとすれば、もちろん、最初に達哉に言う。じゃなきゃ、きっと達哉が怒るし。
「舞子ー」
ザワザワしている賑やかな教室内でも、ハッキリと聞こえた達哉の声。
生きてきた中で、今日が一番時間が進むのが早かった気がする。気持ち的な問題だと思うけど。
「早かったね。もう少しで終わるから、待ってて」
「おー、分かった」
クラスメートは、最近ようやく達哉に慣れてきたようで、今まで見たいにこわがらなくなった。
とは言っても、何となくビビってるか。