Foolish boyfriend~5年前の約束~

「舞子、もう終わるから、帰っていいよ。」


「え、でも…」


「大丈夫、人数足りてるし。それに、今日デートなんでしょ?」

「え?」


何で知ってるんだろう?


「うそ、忘れてたの?朝自分で言ってたじゃない」


思い返してみれば、そうだ。


朝、この子には今日デートすることを言ってたんだ。忘れてたよ。


「あー、ごめん。じゃあ帰るね、ありがと」


そう言うと、友達は笑顔で手を振ってくれる。


友達に感謝しながら教室を出ると、壁に寄り掛かって向井君と話をしている達哉がいた。


「達哉っ」


「あれ、もう掃除終わったのかよ。」


教室の方をチラッと見た達哉は、不思議そうな顔であたしを見た。


「今日はデートだからね、友達が先に帰っていいよって。人数足りてたみたいだし」


「ふーん、そっか」


納得したように頷いた達哉は、向井君の方に向き直って


「じゃあな、健吾。俺ら今からデートだからさー」

と言った。
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