Foolish boyfriend~5年前の約束~
「俺が今166.5センチだからー…あと6センチはいるな。」
166.5センチね。
166センチでいいのに。達哉にとっては5ミリが凄く重要なんだよね。
「…何であと6センチなの?」
「いや、やっぱさ、10センチくらい差がないとなー。キスするのにもそのくらいが絵になるじゃん?」
やっぱり。そんな理由だと思った。
「そう?あたしは今ぐらいがちょうどいいけどな。顔の高さもちょっとしか変わんないし」
背伸びなんてしなくても、達哉の唇には簡単に触れられる。このくらいが、ちょうどいいよ。
「いや、ダメ。俺屈んで舞子にキスしたいもん。」
「あはは、何それ」
そんな、憧れが理由なんだ(笑)
「まぁ、とりあえず、キス出来れば全然チビでもいいや。」
乗り物の前にあった列に並んでいく。達哉と話してれば、こんなのすぐだよね。
「……キス魔め」
そっぽを向いてそう言ったけれど、そんなに嫌じゃない。キス魔? そんなこと知ってるよ、ってね。
「こちらへどうぞ」
案内のお姉さんが笑顔でそう言った。人が少ないだけあって、順番はすぐに回ってきた。