Foolish boyfriend~5年前の約束~
一つ、小さく溜め息をついた。
「お父さんの……転勤が決まったの」
目線を下に落としながら言う。
今、達哉どんな顔してるの?
ちょうど観覧車が頂上に達したとき、達哉はあたしから目を逸らした。
「……………」
何も言わない達哉。
当たり前だよね。
気づいてたとはいえ、急な話だもん。
あたしが逆の立場だったら、きっと信じられないし、何て言えばいいか分からなくなる。
「あたしもね、昨日転勤の話を聞いたの。結構遠い場所みたいなんだよね…」
残っても構わない、そう言っていた。
あたしだけ?
達哉と離れたくない、なんて。そんな理由で残るの?
「いつ…?」
再び小さく口を開いた達哉は、今にも消えてしまいそうな声でそう言った。
「クリスマスの、次の日」
26日だ。
あと、1週間しかない。