Foolish boyfriend~5年前の約束~
「……舞子も一緒に引っ越すわけ?」
達哉はどうしてほしい?
あたしに、何て答えてほしい?
「まだ、決めてない」
落とした目線の先にある達哉の手が、ギュッとなった。力が入ってるのが、あたしの目から見てもすぐに分かる。
「達哉は、さ……あたしに、どうしてほしい…?」
あたしは何を期待してるんだろう。
「行くな」って、引き留めてくれること?
それとも、笑って送り出してくれること?
「舞子が行きたいって言うなら、俺に引き留める権利はないし……でも、別れる気はない。」
あたしの目を見て、ハッキリとそう言った。
権利って何?
別れる気がないのはあたしも一緒だよ。だからこそ、離れたくない、って思うんじゃないの?
無理矢理にでも引き留めてよ。
あたし、遠くに行っちゃうんだよ?
やっぱり、最後はあたしが決めなくちゃならないの?
「そっか……、分かった…」