Foolish boyfriend~5年前の約束~
「はい、これ」
差し出されたのは手のひらに乗ってしまうほどの小さな箱。
これは……
この大きさは、期待しちゃうよ。
「開けてもいい?」
「うん」
小さな箱を開けると、そこには予想通りの指輪があった。
「すっごい…可愛いっ」
ティアラをモチーフにした、華奢な指輪。
こんなの売ってる店、きっと入りづらかっただろうし。そんなところにいる達哉を想像すると、自然と笑みが零れた。
「貸して」
達哉はそれを箱の中からとって、それと同時にあたしの右手をとった。
「俺のものって印ね」
右手の薬指に、キラキラと輝くティアラの指輪。あたしの指に、ピッタリだった。
「ふふっ、じゃああたしからも、プレゼントあげる」
鞄から包みに入ったプレゼントを取り出して達哉に渡した。
笑顔で包みを開ける達哉。相変わらず、可愛い笑顔で、キュンときた。
「あ、これだて眼鏡?」
「うん。それとー、ネックレス」
だて眼鏡にネックレス。
「ほら、達哉よく目が乾くって言ってたでしょ? だから、眼鏡してれば乾かないかなーって…それにさ、賢く見えるよ」
黒ぶちのだて眼鏡を達哉の手からとって、掛けてみた。
「似合う?」
ニコッと笑ってあたしを見る達哉は、眼鏡を掛けたことで、更にカッコよくなった。
「似合う。ヤバい、あたし眼鏡掛けてた方が好き。達哉カッコいい!」
「じゃあキスしていい?」
会話になってない。
出たな、キス魔め!