Foolish boyfriend~5年前の約束~

「あ、でも先にネックレス付けて。俺自分じゃ付けらんねぇから」


「仕方ないなぁ」


ネックレスの金具を止めようとするけど、手がかじかんで上手く付けられない。

眼鏡を掛けた達哉の顔が目の前にあるから、緊張してるっていうのもあるけど。


だってね、眼鏡掛けた方がほんとにイケメンなんだもん。

すぐには慣れないよ。


「ん、付かない…」


あたし、今顔赤いかもしれない。


「あ、付いた」


「サンキュー」


やっと付いたネックレスが、チャリ、と音をたてた。

やっぱり、よく似合ってる。

そんなことを思ったのも束の間で、達哉に手首を捕まれていた。


「何、この手は?」


「だから、キスしていいって聞いたじゃん」


「あたしそれに関しては返事してないよ」


「うん。だから、肯定と受け取った」


ニッと笑って、あたしの手を引いた。

当然あたしはバランスを崩して、達哉の方に引き寄せられる。


「ちょっ…」


バランスを持ち直したときにはもう、達哉の顔は目の前にあって、唇が触れていた。


ほんとに、キス魔だ。

左手は腰に、右手は後頭部に。しっかりと回っていて、あたしを離さない。

髪をクシュリと撫でられる感覚が、気持ちいい。
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