Foolish boyfriend~5年前の約束~
「違いますー。達哉と一緒にしないでくださいー。」
あたしはキス魔じゃない。
断じて違う。
「失礼な。いいじゃん、キス魔同士のカップル。毎日キス出来るよ」
「そんな毎日キスばっかいらないよ」
離れたとき、余計に寂しくなっちゃいそうだから。
「んなこと言って。いざ出来ないってなったら寂しいだろ?」
まるであたしの確信をつくかのような達哉の言葉に、ドキッとした。
「うん、寂しいかもしれな…………っくしゅ!!」
喋ってる途中に鼻がムズムズして、思わずくしゃみが出てしまった。
「あぁ、舞子寒い? そろそろ帰るか?」
あたしを気遣ってくれてるのは、痛いほどに伝わってくる。でも、あたしはまだ帰りたくない。
「イヤ。もう少しここにいたい」
あたしがそう言うと、達哉は一瞬だけキョトンとして、嬉しそうに笑った。
「じゃあ、もう少しここにいようか」
達哉だって寒いはずなのに、どこか嬉しそうなのはきっとあたしと同じ気持ちだからだよね?
ベンチに座り直して見た景色を、あたしはきっと一生忘れないよ。