Foolish boyfriend~5年前の約束~
迎えに行くよ
「舞子ー、準備できたのー?」
お母さんの大きな声が、空っぽになった家に響く。そんなに大きな声出さなくたって、聞こえてるって。
「出来てるよー」
昨日の夜、あれから長い時間あの場所にいたあたしたちは、クリスマスのイルミネーションが消えたのを見て、家に帰った。
何時だったのかは分からないけど、相当遅い時間だったんだろう。お母さんに、少しだけ怒られた。
達哉はあたしより、自分の方が家が遠いのに、家まで送ってくれたのだ。
断ったけど、さすがに時間が時間だったから。
―ピンポーン…
お母さんもお父さんも、自分の準備で手一杯みたいで、チャイムが鳴ったのに出ようとしない。
「はいはーい」
仕方なくあたしが出たけど、来た人物を見て、あたしが出て良かったと思った。
「おはよ、舞子」
「達哉っ」
あ、そうだ。昨日、見送りに来るって言ってたんだった。
「まだ、行かないんだ」
「うん、準備が終わるまでは…」
お母さんもお父さんも、達哉が来たことには気付いていなかったみたいだから、外へ出た。
「舞子は準備終わったのかよ?」
「うん、昨日帰ってからほとんど終わらせてたから」
昨日帰ったあと、スゴく不安になった。
一生、クリスマスが続けばいいのに、って思ってた。夜、ずっとそればっかり考えてた。