Foolish boyfriend~5年前の約束~
「うん、待ってるよ。 ずっとずっと、待ってる……達哉だけを好きでいるから。」
「俺も、舞子だけを好きでいる」
もしかしたら、口だけかもしれないし、勢いで言っちゃっただけかもしれない。
でも、あたしは達哉を信じるよ。
たかが高校生のちっぽけな約束だけど、達哉なら、きっとあたしを幸せにしてくれるはず。そう信じていたいから。
「じゃあね、達哉…」
「またな」
ニッとはにかんだ達哉の顔を見ると、あたしも笑顔になれる。
すでに準備を終えていたお母さんとお父さんは、気をきかせたのか、車の中で待っててくれた。
「もう、いいの?」
「うん、大丈夫」
車に乗り込むと、やっぱり泣きそうになった。離れたくないと、改めて思う。
遠距離恋愛なんて、そんな器用なこと、あたしと達哉に出来るのかな?
達哉と離れた途端に、次々と不安がこみ上げてくる。
「舞子、またな」
二度目の「またな」が、開いていた窓から聞こえてきた。