Foolish boyfriend~5年前の約束~
顔を出して覗いてみると、さっきまで笑顔だった達哉はいなくて、あたしが見たのは悲しそうな表情をした達哉だった。
「電話もメールもいっぱいする。あたしからも、会いに行くから。ちゃんと、大好きだからねっ」
自分でも、途中から何を言っているのか分からなくなった。でも、会えている内に伝えておかなくちゃ、きっと不安は消えないままだから。
進み始めた車。
ポタリと、涙が零れた。
少しずつ遠ざかっていく。あたしはずっと、達哉を見つめていた。
ふと、達哉の口が動く。声は聞こえない。
口の動きを見たとき、やっぱり涙が零れた。ポタポタと、止まる気配がない。
「バカ…っ」
ありがとね、達哉。
"あ い し て る"
ちゃんと、伝わったから。