Foolish boyfriend~5年前の約束~
眠そうな顔をしてる中村。
中村、今何時か分かってんの?
その様子だと、今起きたよね?
もう1時過ぎだよ。
「うわっ、めっさ涼しいやん!」
中村の部屋に入った瞬間、フワッと涼しい風が体を包み込んだ。
「クーラー点けてへんかったら、お前怒るやろ。邪魔くさいねん」
「邪魔くさいって何やねん。わざわざここまで来たったんやで? アイスぐらい出しいや」
「中村、あたしもアイス食べたい」
こんな涼しいトコで1人だけ待ってたなんて、ズルすぎるから、あたしもアイスを要求。
「広田まで何言うてんねん。何で俺がお前らにアイスやらなあかんの?」
「うちらめっさ頑張ったんやで?」
2人してジトーッと中村を見つめると、中村はしぶしぶ動いた。
「ほんまお前ら邪魔くさいな。めっさ腹立つ」
「はいはい、そないなこと言わんのー」
とか言いつつ、アイスを取りに行ってくれる中村は、優しい。
そして中村は、モテる。
茶色い髪は程よくセットされていて、高校生男子にしては、少し小さい身長。スポーツ万能で、勉強もそこそこ出来る美少年だから、女子がほっとかないのは当たり前。
何でそんな人があたしなんかと仲良くなってるのか、いまだに不思議だ。
「あっつー。あかん、脳ミソとろとろや」
「何言うてんの、杏のは元々固体やないでしょ。最初からとろとろやん」
「ちゃうわ。一応固体や。うちはできんのやない、やらんだけや。やれば出来る子っちゅうことや」
なに言ってんだか……