【短】クリアネス-未来へ-
君は
笑っている方がいい。

君は
笑っている方がいい。


まるで魔法のように


君の笑顔は
僕を笑顔にさせる。






俺はその日から
密かに彼女の観察を始めた。


彼女はほぼ毎日、朝から出かけていく。

OLさんか何かかと思ったけど、その少し派手めの風貌から、たぶん大学生なのだと推測した。


彼女の部屋は人の出入りが激しかった。

正確には、男の出入りが激しかった。


部屋を訪れる男たちは急ぐように彼女を抱くと、財布から数枚のお札を取り出す。


何てこった。
彼女は俺と同業じゃないか。


それは嫌悪の対象にはならず

むしろ親近感を覚えた。




入れ代わり立ち代り訪れる男達の中で

一人だけ様子の違う、若い男がいた。


そいつは他の男達よりずっと丁重に彼女を扱い

そいつの腕の中にいる彼女は、いつもより少し控えめに見えた。



そうか。

あれが彼氏か。
< 25 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop