[短編]One-Way Ticket
那智は自販機で買った水を私に差し出した。


礼を言って受け取る。


さっきから那智の顔を直視することができなかった。

「…」

沈黙が続いた。


先に耐え切れなくなったのは私

「あの、今日のお礼させてください!」


突拍子な発言と自分の声の大きさに自分が1番驚いた

「え?別に…」

「いえ!このままって訳にはいきません。お願いします。」

私は深々と頭を下げる。

那智はクスッと笑った。

「わかった。」

「はいっ!ありがとうございます!」


こうして那智との付き合いが始まった。


私が那智にお礼としてご飯をご馳走したのは水曜日。

それから毎週水曜日は那智と遊ぶ日。



今の私の1番の楽しみ。


いつから那智を好きになっていたのかはわからない。

だけど
この出会いから今まで…私が那智のことを考えない日はなかった。
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