[短編]One-Way Ticket
「ねぇ千香、やっぱり今日は那智さんとお出かけ?」

友達がにやにやして私に言ってくる。

知ってるくせに。

「いいよね。カッコイイもん、那智さん。」

「いいでしょう?」

得意げに私は鼻をフフンと鳴らした。


「んで、もう告白したの?」

「はぁ?」


思わず声に力が入った。


「隠しても無駄だってば。那知さんのことを話す
千香の顔を見ればすぐにわかるよ!」


そう…私は昔から顔に出やすいタイプ。


「もしかしたら、那智にも気付かれてるかなぁ。」


実は先週遊んだ時


那智はいつも以上に素っ気なかった。


「私の事ウザイって思ってるのかなぁ?」


「ウザイって思ってるなら遊びに誘わないし、連絡だってしないよ。」


ポンッと肩に手を置いて友達は微笑んだ。


そうだよね…


嫌いならメールてかわざわざして来ないよね。


那智を好きになってから


小さな事で嬉しくて楽しくなるけど


小さな事で不安にも悲しくもなるようになった。
< 4 / 20 >

この作品をシェア

pagetop