戦国彼氏

一番スキな人。

「あらまさくんッ。」


涙で視界が歪む。


新政は息を整えると急に頭を下げた。



「ごめんっ!!約束してたのに…俺電車に乗ってたんだけど列車のトラブルあってすぐに来れなかったんだ。電話も電源切れて…本当にごめん。」



ずっと頭を下げる新政に、市はさっきまで悩んでいた事がふっとんだ。



「よかったぁ~…」


「…え?」




「新政くん市のこと嫌いになったのかと思った…。だから今女の子と遊んでるのかと…」

「ばッ…ばかじゃねーの!?俺は市以外の女なんて興味ねぇよ!!今日だって…」





「?」



新政はポケットから何かを取り出すと、市に手渡した。



「これ…買ってて…。」






……あ……




出てきたのは花の髪飾り。



「なんか…似合うだろうと思ってだな…ごにょごにょ…」



「新政くん…これ…市のために?」


「そ、そうだよ…。」



「ありがとぉぉ!!」


市は泣きながら新政に抱き付く。


「い、市!?うわ香水くさっ!!」


「香水の使い方わかんなくて…いっぱいつけちゃった…」



「まじで?」





新政は笑うと、花の髪飾りを市の髪につける。


「似合うな。」



「ほ、本当?」



照れた様子の市の頭の中は戦国を思い出していた。


そういえば…戦国〇双2でも浅井長政様がお市に花の髪飾りをつけてもらってたなぁ






私達ってほんと戦国ゲームにそっくり。



一人で笑っている市を見て新政は首を傾げた。
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