戦国彼氏
聞き込みが終わり、空が真っ赤な夕方に染まり始めたころ、私達はガリガリくん(アイス)を食べて途方に暮れていた。



「唯井…一人暮らしだったんだな。」


と清ちんが呟く。



…噂によると、唯井新政は中3の頃に離婚し父親と二人暮らしだったが、父親の海外での仕事が決まり今では一人暮らしだとか…。









「市には親がいないなんて想像つけないよ…。」


きっと新政くんは寂しいんだ…


寂しいから女の子と?


だったら…



「あ!あれ新政じゃない!?」



ミネちゃんが向こうを指差して立ち上がる。



確かに唯井新政は女の人を連れて歩いている。


またマンションに向かっていた。



「…ッ市行ってくる!!」


「えッ!?市ちょっ…」








私はベンチを飛び越え、犬を蹴飛ばし(走れメロスのパクリ)大声で叫んだ。



「新政くん!!!」










唯井新政は振り返る。


「…市…ッ。」



はぁはぁと息が漏れる。


汗と一緒に涙が流れた。



「市ね、ずっと考えてたの。…新政くん…寂しい?」




唯井新政は私から目を逸らし、俯く。



「ねぇー新政。この女誰?」


隣の女の人は不機嫌な顔をして私を睨む。
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