恋奏~love harmony~



言葉が出なかったけど、すぐに我に返った



「すみませんっ!

この4年間、これ以上ないくらいよくしてくれてもらっているのにっ…

前の両親の事を今頃になって…」


「まり、頭を上げなさい」


勢い良く下げた頭を今度はゆっくり上げた

そっと二人の顔を見る


「誤ることじゃないんだよ?」


「でもっ…」


「これを。」


「え?」


いきなり話の途中にもかかわらず雅人さんが一枚の紙を渡してきた

そこにはフランス語で書かれた住所と名前、連絡先が記されていた


「あの…」


「この連絡先は私たちの知り合いで

4年前の事件の担当者の刑事だ



まあ、今頃には偉い奴に立っていると思うがな。」



そう言ってフッと笑う優都さん

引き続きに凛子さんも話し出す


「まりちゃん、私たちはまりちゃんのことを本当の娘みたいに思っているのよ?」


「……っ」


「でもね、だからって亡くなった両親を忘れてほしいとは思っていないの。

むしろ、忘れないでほしい

だって、あの二人も私たちと同じ、あるいはそれ以上にまりちゃんを愛していてくれていたんだもの」


「………っ」




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