恋奏~love harmony~
「まりちゃんは相川夫妻のたった一人の愛娘ですもの。
まりちゃんに忘れられるなんてこれ以上ないくらいかなしいことだと思うな。
だから、まりちゃん
2人のことを忘れなくていいの。
忘れちゃいけないの。」
「………っ」
「私たちはそれに腹が立ったりはしない
むしろ、忘れる方が怒っちゃうわよ?」
冗談をいうかのようにふふっと笑う凛子さん
あたしは何時から流れているか分からない涙を拭うことせずに2人を見つめ続けた
「まりが2年生に上がってから両親のことを調べているのは知ってたよ
まあ、教えてもらったのだけどな。」
優都さんも照れくさそうに笑った
「………」
「それにな、まり。
私たちはまりのことを迷惑だなんて思ったこと一度もないんだよ
本当の娘のように思っている
それは、まり自身も分かっているはずだ」
「……はぃ」
やっと出た掠れた声
「だから、何も隠すことはしなくていい
もっと甘えていいんだ。」
まっすぐにあたしに向けられる優都さんの視線
隣では凛子さんも同じようにまっすぐと視線をあたしに向けている
あたしは優都さんの言葉に
2人のまっすぐな視線に何かがプツンと切れたように止まったはずの涙が出てきた