『短編』5分前
悠斗兄ちゃんは。
悠斗兄ちゃんは、どんな女子が好きなんだろう。
生まれた時から隣りに住んでいるのに、そういうことはさっぱりわからない。
誰にでも優しくて、いつも笑顔で。
だから、よけいにわからない。
悠斗兄ちゃんは格好いいから、大学でもきっとモテるんだろうな。
わたしなんて、ただのお隣さん。
きっと、妹みたいなものなんだろうな。
3つ目のみかんに手を伸ばす。
紅白歌合戦は滞りなく、進んでいく。
これが終われば、今年も終わり。
何もできないまま、どうすることもできないまま、いつも時間だけが過ぎていく。
そして、今年を振り返って後悔する。
もう少し、なんとかできたんじゃないか、と。