『短編』5分前
小指の痛みと恥ずかしい気持ちを堪えて玄関に行くと、案の定、悠斗兄ちゃんはくすくすと笑っていた。
は、はずかしい……。
「大丈夫?大きな声聞こえたけど」
「う、うん」
これ以上は赤くならない、というほど赤くなってしまった顔を隠すためにひたすらうつむく。
そんな私とは対照的に、悠斗兄ちゃんは穏やかに、
「舞ちゃん、今から少しだけ出られる?」
と、言ってわたしの顔をのぞき込んだ。
突然のその誘いに、わたしは思わず顔を上げた。
「今から?」
「うん。そこの神社に行くだけだから」
近所にあるその神社は、歩いて5分で行ける。
「うん。ちょっと待っててね」
わたしは慌てて、自分の部屋へ駆け込んだ。