銀杏
第一章
咲が天涯孤独になった訳
「あのね、お母さん。今日もタケルくんと一緒に遊んだの。」
保育所に迎えに来た母に、楽しかった事を早く伝えたくて駆け寄った。
「そう。よかったわね、楽しかった?何して遊んだの?」
「えっとねぇ、レンジャーごっこ。タケルくんがレッドでぇ、コウくんがブルー、アカネちゃんはグリーン、サキがピンク。それからタケルくんと二人で宝物かくした。」
「宝物?」
「うん!あ、タケルくんのおばちゃんだ。おばちゃーん。今日ね、タケルくんとね…。」
「サキ!」
尊が咲を掴まえて耳打ちをした。
「宝物の事、誰にも内緒だって言っただろ。」
「お母さんにも?」
「あったり前じゃん。言っちゃダメだからな。」
「…わかった。」
二人でコソコソしている様子を見て、母親同士顔を見合せクスクスと笑った。
「仲がいいわね、二人とも。」
「ホントね。」
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