銀杏
第二章

疑心



段々汗ばむ季節になってきた。

蒸し暑く、どんよりとした曇り空。典型的な梅雨空だ。

尊はテニスで去年と同じくレギュラー入りして、練習に励む日々。

ちょうど同じ頃、咲もまた水泳大会に出るためにより一層頑張っていた。

気にしていた噂もいつの間にか消え、ホッとする。

尊の言った通りだった。あんな根も葉もない噂に惑わされなくてよかった。

誰が流したのか知らないけど、私の気持ちがしっかりしてれば大丈夫。そうだよね、尊。




プールが解禁になり、やっと泳げるようになった。

初めは感覚を取り戻すのにちょっと苦労したけど、去年と比べてタイムは縮んだ。

ずっと続けてた筋トレのお陰?うふっ、嬉しい。

その後も少しずつタイムは速くなり、水泳大会でメドレーに出ることになった。




< 105 / 777 >

この作品をシェア

pagetop