銀杏
第二章
疑心
段々汗ばむ季節になってきた。
蒸し暑く、どんよりとした曇り空。典型的な梅雨空だ。
尊はテニスで去年と同じくレギュラー入りして、練習に励む日々。
ちょうど同じ頃、咲もまた水泳大会に出るためにより一層頑張っていた。
気にしていた噂もいつの間にか消え、ホッとする。
尊の言った通りだった。あんな根も葉もない噂に惑わされなくてよかった。
誰が流したのか知らないけど、私の気持ちがしっかりしてれば大丈夫。そうだよね、尊。
プールが解禁になり、やっと泳げるようになった。
初めは感覚を取り戻すのにちょっと苦労したけど、去年と比べてタイムは縮んだ。
ずっと続けてた筋トレのお陰?うふっ、嬉しい。
その後も少しずつタイムは速くなり、水泳大会でメドレーに出ることになった。