銀杏


「そっか。まあねえ、幼なじみ同士の喧嘩だもん。
私が間に入ってどうこうできる訳じゃないしね。
でも喧嘩って一方的に片方が悪い訳じゃないんだよ?
咲もよく考えてごらんよ。
もしかしたら天宮くんだって、今はもう悪かったって思ってるかもよ?」

「そうかなあ…。」

「元気出しなって!帰ろ!!」

そう言って友美は私の背中を押す。

重い足取りで正門の近くまで来ると、尊が待ってるのが見えた。

あ…。

「ほら、言った通りじゃん。ちゃんと仲直りすんのよ。じゃあね。」

私を肘でツンツンつつくと、友美は一人でさっさと門をくぐって帰って行った。

一つ大きく深呼吸をして尊へと歩を進めた時だった。




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