銀杏


後ろから小走りでやって来た人が、私を通り越して声をかけた。

「天宮くん!お待たせ。行きましょ。」

すぐ近くにいた咲には気づきもせず、その人と一緒に肩を並べて帰っていく。

何で…?

咲のために待っててくれたんじゃなかったの?

折角仲直りしようと思ってたのに。

あの人…プラネタリウムで会った先輩だ。
女の子と喋らない尊が私以外で仲良くしてる人。

あの時『休みの日にまで追いかけられてるの?そんなに一緒だと息が詰まっちゃうよ。私たちと一緒の方が楽しいって』そう言ったんだ。

尊は私といると息が詰まるの?

私と一緒だと楽しくない?

決めつけた言い方にカチンときた。

それに追いかけられてる…て一度もそんなことした覚え…。

追いかけられてる…追いかけてる?

あ、もしかしてあの噂…先輩が流した…?




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