銀杏
歩道橋の上から下の国道を走る車をボーッと眺めてた。
日は暮れて、西の方が夕焼け色に染まる。
東の空には気の早い一番星が輝きを放っている。
車のライトがチラホラと灯り始め、道路沿いの店は赤や黄色や緑のネオンで彩りを添える。
もう濡れた髪も乾いてしまった。
おばちゃん…心配してるかな。
でも尊に会いたくない。
いつも尊と一緒にいて、隣にいることが当たり前になってた。
たった一度、尊が他の女の子と帰っただけでこんなにショックだなんて。
私っていつからこんなに尊のことを好きだった?
いつからこんなに妬きもちを妬くようになった?
尊を好きだと言ったこともないし、言われたこともない。
なのにこんなに独占欲が強かったなんて…。