銀杏
大きな声にビクッとした。
「咲ちゃん!どうしたの。いつからここに?」
「尊?…尊だ…尊ぅ…うわーん!!」
久しぶりに会えたことに気が緩み、泣きじゃくった。
それから二時間ぐらい、一緒に過ごせたと思う。施設の先生が迎えに来て引き離された。先生に抱え込まれ、暴れたけれど放してもらえなくて泣き叫んだ。
「嫌だあ!尊と一緒にいるー!離してぇ。尊!尊!おばちゃん、助けて!!嫌あー!!」
車に押し込められても尚、窓ガラスを叩いて泣き叫んだ。
「開けて、開けて!尊ぅー!!ああーん。」
窓の外の尊とおばちゃんが心配そうにじっと見ていた。
一度尊と会ってしまったことで気持ちは抑えることができなくなった。