銀杏


尊はあの人と付き合ったりするのかな。

…嫌だ、想像したくもない。

短くため息を吐くと、そのまま道路の反対側へ渡り、あまり来たことのない道へ出た。その通りを道なりに進むと大きな公園があった。

とっぷりと日は暮れて、もう誰もいない静かな公園。砂場には忘れられた小さなバケツ。

ブランコに乗って大きく漕いだ。

キィー…キィー…

大きな音をたてる。

風が気持ちいい。

前に大きく揺れた瞬間、思いっきり飛んだ。

ふふ…懐かしい。



『どっちが遠くへ飛べるか競争だよ。いーちにーのさん!!』

『やったあ!咲の勝ち!!』

『じゃあ今度は滑り台。後ろ向きになって滑れる?』

うつ伏せになって寝そべると足から滑った。

『ねえねえ、二人一緒に滑ろうよ。タケルが前でサキが後ろね。』

尊の肩を掴んで『出発進行!』の声と共にスーッと滑る。




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