銀杏


「今まで何してた?」

「……。」

「……。」

「尊に…関係ない。」

プイッとそっぽを向いて答える。

「咲!」

尊は怒って咲の腕を掴んだけれど、咲は顔を背けたままだ。

絶対尊の顔は見ない。見るもんか!

「父ちゃんも母ちゃんもどれだけ心配したかわかってんのか!?」

「わかってるよ!だから帰って来たんじゃない。ちゃんと謝る。
でも尊には謝らない。絶対…謝らないんだから…!」

掴まれた腕を振り切って家に入った。尊はしばらく外にいて、中に入ると足を踏み鳴らしながら自室に行き、家が地響きするぐらいの勢いで扉を閉めた。

下からおばちゃんが「尊!!静かにしなさい!」と叫んだ。




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