銀杏
先輩
あれから三日目。
口をきかないと決めたのにもう寂しくなってる咲がいた。
何をしても尊のことが頭から離れない。
気になるのに目が合わせられない。
そのくせ尊の姿を目で追ってしまう。
咲の様子を心配した友美が傍に来た。
「ねえ…。」
「んー?」
返事をするも視線はテニスコートに目をやったままだ。
「まだ喧嘩中?」
「え…あ、うん。」
「一体何が原因なの?素直になれば済むことじゃない。」
それができないから困ってんじゃん。
「…ターンの練習してくる。」
今は喧嘩のこと友美に触れられたくない。
身の入らない練習を終えて正門まで来ると立ち止まり、いつも尊が立っていた場所に目がいってしまう。
尊が先輩と帰る姿を見てから一人で帰るようになって、同じ通学路なのに今までと違うように映る。
こんなに道幅広かった?
こんなに長い道だったっけ?