銀杏
ため息を吐いて一歩前に踏み出した時だった。
「一文字一人?」
「佐古田先輩…。」
クラブの部長だ。
「話があるんだけどいいかな。」
「はい。何でしょう?」
「歩きながらでいいよ。行こうか。」
「…はい。」
しばらく黙ったまま歩いていると先輩は話を切り出した。
「ここ数日元気がないみたいだけど、何かあった?」
「え?…あの。」
「あったんだろ?見てたらわかるよ。練習にも身が入ってないみたいだし。」
「あ…す、すみません。」
「謝ることないよ。ただね、中途半端な気持ちでやられると怪我に繋がる。夏休みに入ったら大会もあることだし。」
「そう…ですよね。」