銀杏
「ほら、またそんな顔してため息吐いてる。元気がないのは尊って奴が関係してるんだろ?」
「……。」
「ああ、ごめん。突っ込んだこと訊いたね。
今度の大会で3年は引退だし、できればいい成績残したいから頑張ってよ。」
「すみません。」
「また謝る。謝んなくていいって言ったろ?…一文字は…笑ってる方がいいよ。」
「え?」
思わず先輩の顔を見上げたけれど、
「一文字はあっちだろ。俺こっちだから。じゃな、また明日。」
先輩はサッと走って行ってしまった。
何気に…今恥ずかしいこと言われた?
頬に手を当てると…熱い。
ボーッと突っ立ったまま、先輩が走り去った方を見つめた。