銀杏
次の日も、その次の日も佐古田先輩は咲に声をかけてきた。
クラブの話だけじゃなく、テレビの話や好きな音楽の話とか、興味を持ってることをたくさん話してくれた。
咲の気持ちも次第にほぐれ、いつしか学校にいる間は尊のことを考えずに済む時間が増えていった。
「最近、調子いいみたいだな。タイムもよくなってるし。この分だとかなりいい線いくんじゃないか?」
「エヘ!先輩のお陰です。心配かけてすみませんでした。もう大丈夫です。」
「そっか。よかった。じゃあ、もうすぐ終業式だし、最後に大会でいい成績が修められるようにおまじない…してやるよ。」
「おまじない?どうやるんですか?」
「明日、昼休み音楽室においで。先生に頼んで開けてもらうから。」
音楽室?
何をするんだろう。