銀杏
あの後、先生からはこっぴどく叱られたのに、次の日も、また次の日も会いに行った。
四日目には施設の先生が学校まで迎えに来たけれど、目を盗んで逃げ出した。
もう先生が尊の家に迎えに来ても泣かなかった。だっていくら先生が来ても次の日にはまた行くつもりをしていたのだから。
五日間、尊の家へ通った六日目の土曜日。尊のおじちゃん、おばちゃんが施設へやって来た。
「おじちゃん、おばちゃん!」
嬉しくて抱きついた。
「尊は?一緒に来なかったの?」
「今日はね、大事な話があって来たから、お留守番してるのよ。」
そう言うとおばちゃんはしゃがんで咲と目を合わせた。
「あのね咲ちゃん。おばちゃんちの子になろうか。」
「?」
「おじちゃんとおばちゃんの子どもになるの。尊と兄妹よ。尊と仲良くできるかな。」
「尊とずっと一緒?もうここへ来なくていいの?」