銀杏

仲直り



家からの最寄り駅で解散になった。

「明日はクラブ休みだからゆっくりしろよ。お疲れ。」

「「お疲れ様でした。」」

顧問の話の後みんなと別れて帰る途中、じわじわと嬉しさが込み上げてくる。自然に笑顔になり、早く報告したくていつの間にか駆け出していた。



「ただいま!」

元気よく玄関を開けてリビングを覗く。

「おばちゃん!…あれ、いないや。あ、そうか。仕事だ。」

尊は…いるのかな。

深呼吸をして息を整える。

尊にちゃんと謝らなきゃ。
緊張して…ドキドキする。
尊が許してくれますように。

部屋をノックする。

コンコン

……

コンコン

……

何だ、いないのか。

誰も…いない?




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