銀杏
ドク…
やだ。また心臓が…。
「う…。」
大丈夫。みんなすぐ帰ってくる。だから…大きな音を立てないで。鎮まれ、心臓。
「くっ…。はあ…はあ…。」
苦しい…助け…て。
尊…尊!
カチャ…パタン
玄関で物音がした。
誰か…帰って来た。よかった…一人じゃない。
大きく息を吸ってゆっくり吐いた。
トントントン…
軽い足取りで階段を上って来る。尊だ…。
「あ、咲!大丈夫か?今帰ったのか?ちょっとコンビニ行ってて。何ともないか?」
いつもの尊だ…。