銀杏


「きゃああ!何よこれ。尊、振ったの!?」

「あれ…それ炭酸だったのかよ。わりーな。間違えた。」

一瞬、ニヤッとした尊。

わざとだ。これは絶対わざとやったんだ!

もおおおー!折角見直したと思ったのにいい!ちっとも優しくなんかな――い!!

「フン!!」

ドスドスドスと足を踏み鳴らしてシャワーをしに行った。

シャワーを浴びながら、それでも尊を憎めなくて、尊らしい悪戯にクスッと笑いが漏れた。



夜、久々に尊の顔を見て話をした。いつから顔を見なくなってたんだろう。

「今から思うと何であんなに拗れたのか不思議。ちゃんと話をすればよかった。ごめんね尊。」

「へえ。やけに素直じゃん。…そこが咲のいいとこだよな。悪かったって気づいたらちゃんと謝るとこ。でもちょっと長くかかりすぎだ。

はっきり言ってあの時はムカついた。」

「あの時…て、どの時?」




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