銀杏


しばらく窓の外を見つめ、ボールを打つ音を聞いていた。

…見たかったな、尊の試合。

短いため息を吐いて、痛む足に視線を移した。

こんなに腫れてちゃ、きっとサンダルは履けない。
どうやって帰ろう。



あの先輩、私と尊が仲良いのが余程気に入らないんだね。
一緒に暮らしてるなんてバレたら…どうなるんだろう。
絶対に知られないようにしなきゃ。

二学期が始まる前に尊に言わなきゃ。
学校では関わらないようにしようって。

秘密ができちゃった。
隠し通せるだろうか、あの尊に。
それから友美にも。友美も鋭いとこがあるから不安だな。




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