銀杏


立ち上がって俯き加減で歩く後ろ姿に胸が締めつけられる。

「尊!」

「…んあ?」

「ごめん…なさい。」

尊はうっすらと笑みを浮かべて、「気にすんな。」と部屋を出て行った。

あんな顔で、『気にすんな。』と言われても気になるよ。

あの先輩にさえ会わなければ…。
脅されて、転かされて、捻挫して…あーもう、本当に腹が立つ!!

これから先、例え傷ついても尊の傍にいるか、それとも距離をとるか…。
尊は何て言うだろう。
いっそのこと尊に全部話してしまいたい。

…気が重い。




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