銀杏
「咲!母ちゃんがタクシー使えって。緑地公園の中はタクシー入って来れねえから乗り場までおぶってってやるから。ほら、来いよ。」
向けられる背中にそっと手を伸ばした。
「よっ!」
掛け声と共に立ち上がった尊は少しよろけた。
「おわ…とと。お前…思ったより…重っ。何キロあんの?」
「い…いい!もう下りる下りるー!!」
「ちょ…暴れんな!落とすぞコラ。」
「う…。」
落とされんのヤダ。
「んじゃ先生、ありがとうございましたあ。」
「気をつけて帰るのよ。くれぐれも落とさないように。」
「ははっ。はーい。」
「尊?」
「何?」
「試合…どうだった?」
「とりあえず勝った。」
「そう…よかった。優勝?」
「いや、それはまだ。明日の試合で決まる。」